目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

ひととき

波の音が聞こえる……。
昨日まで朝は看護師の慌ただしく行き交う音で目覚めていた。
でも今日はまるで揺りかごの中にいるような心地よさに、一瞬ここは天国かと思ってしまった。
目を開けて天国じゃないことを確認すると、ゆっくりと半身を起こし背伸びをする。

「んー……あー……良く寝た……」

寝すぎたせいか、少しお尻が痛い。
ヒーリング効果のある波の音は、私の疲労した脳に絶大な効果を及ぼしたみたいだ。
久しぶりに脳が何も考えずに休めたようで、思考もスッキリしていて、気分も爽快である。
そんないい気分のままベッドから出て、薄手のカーディガンを探し羽織ると、階段を降りてリビングへ向かった。