目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「旨い?」

「ふまひれす(うまいです)」

思わず口に入れたまま喋ってしまい、それがまた蓮司さんのツボにはまった。
笑いっぱなしのイケメンを見ながら、私はもう、怒るのをやめた。
それよりも、朝食が覚める前に平らげる方が重要だと感じたから。
だって、ほら、人ってお腹が空いたら怒りっぽくなるでしょ?
朝食でお腹がふくれたら、温厚な私に戻れるかもしれない……いや、無理か。
という変な問答を頭の中で繰り広げながら、ヤケになって目玉焼きを咀嚼した。
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