目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

「彼女は三国日菜子さん。社長秘書だよ」

きっと忘れているだろう私に、蓮司さんの説明が入る。
社長秘書……もうそれ以外考えられない適職に私はうっとりとして三国さんを見た。
見惚れてしまうくらいのいい女なんだもん。
仕方ないよね。

すると、三国さんはツカツカと大股で歩いてきて、目の前の蓮司さんをスルーして、私に近づいた。

「奥様、体調は大丈夫でしょうか？」

三国さんは、とても心配そうな顔をして覗き込んできた。
はぁ……私、秘書さんにまで心配かけちゃってる……。

「え、あ、はい。体はなんともないです……」

でも記憶がないんです、と言っていいのかわからず、それは黙っておいた。