目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「ああ、それで、社長。たいへん申し訳ないんですが、急いで決裁を仰ぎたい案件がありまして」

「ああそう。わかったよ……すごく《ついで》みたいに言われたけど、大丈夫。俺は傷付かないから」

少し大袈裟に蓮司さんが言う。

「あら、まぁ。バレてしまいましたのね?」

「当たり前だよ。三国さんは百合の様子を見に来たんだろう?」

え!?そうなの?仕事じゃないの!?
びっくり顔の私の頭上で、社長と秘書の殺伐とした会話が交わされる。

「心配だったんです。どうも奥様は私の庇護欲を煽るので……」

と、三国さんは頬に手をあて、

「わかるよ……煽るよね?」

蓮司さんは頷きながら腕を組む。

「煽ります。もう、監禁したいくらい……」

あ、あれ?なんだか話がおかしくないです?
そう思った瞬間、2人は同士のようにガッチリと握手を交わした。

「な?三国さんはわかっているだろう?」

上から麗しい4つの瞳に覗き込まれ、私は倒れそうになった。
このイケメンとデキる女は、ひょっとして少し変わった性癖の持主なのかも……と、子羊のように震える私なのである……。
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