頑張る
 入学式が終わり、退場する。教室に戻ると、各々が既に友達を作るのに夢中になっている。既にいくつかのグループが出来ているようだった。1人でいる澪の元には、新入生代表の挨拶をしたことで興味本位で代わる代わる色んな人が話しかけてくるが、元々人と関わるのが苦手なのと昔のトラウマがあり、結局上手く話せず、皆離れていった。

事故で家族との突然の別れが突然やってきたことは、未だに受け入れられていない。そのせいで、友達もいつかは居なくなってしまうものだとどこか思ってしまっていて、誰かと仲良くなりたいと思う気持ちに反して距離を置く自分がいた。親しくなればなるほど別れが辛くなる。この辛さをもう一度経験するなら、最初から浅く付き合っていく方が気が楽だ。

この気持ちは嘘ではないが、寂しいのも本当である。矛盾していても、この負の思考のループからは抜け出せないのだ。
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