熱い夜に溺れて
体を震わせる私に、ローデリヒさんは穏やかな笑みでゆっくり近づいてくる。逃げようとした私を素早く捕まえ、ローデリヒさんは私を強く抱きしめた。

「やだ!!離してっ!!」

私が暴れると、「抵抗するの?それなら手錠もつけるけどいい?」とローデリヒさんは笑う。私が抵抗をやめると、「あれ?抵抗しないの?せっかく手錠を持って来たのに……」とローデリヒさんは少し残念そうにする。

「……どうしてこんなことを?」

「僕はね、君が初めてバーに来た時に手に入れたいって思ったんだ。だから監禁することにしたんだよ。こうすれば、君がどこかへフラフラ行ったりしないし」

「普通に犯罪ですよね?」

「犯罪じゃないよ。だって、僕はアナのことを愛しているんだから」

ローデリヒさんは優しく笑い、「お腹すいたでしょ?ご飯を持ってくるね」と言って部屋を出て行く。鍵もかけて……。枷がついてるから逃げられないのに……。

私は、自分を捕らえている枷を見つめる。引っ張っても何をしても取れないのだろう。
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