熱い夜に溺れて
数分でローデリヒさんは戻ってきた。数分、といってもこの部屋には時計がないから正確な時間はわからない。

「きのこと鮭のご飯だよ」

椅子に座らされ、目の前においしそうなご飯が置かれる。何も食べていない体は空腹を訴えている。でも……。

「食べないの?」

「……変な薬をまた入れられていたら嫌ですから」

「入ってないよ?」

ローデリヒさんはそう言うけど、信用するわけにはいかない。私は固く目を閉じ、食事を拒否する。

「しょうがないな……」

暗闇の中で、ローデリヒさんが食器に触れる音がする。何をする気だろう。体が強張る。

「……っんぅ!?」

いきなりあごを掴まれたかと思ったら、唇に温かい感触。驚いて目を開けると、ローデリヒさんの顔が目の前に……。あ、私、ローデリヒさんとキスしてるんだ。

ローデリヒさんが口を開けると、私の口の中に何かが入ってくる。私が拒否した食事だ。ローデリヒさんは、無理やり食べさせようとしている。
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