熱い夜に溺れて
私はローデリヒさんの胸を叩いて抵抗したけど、あっさりその手は掴まれ拘束される。どんなにもがいても外れない。

私は、口に入れられたご飯を食べるしかなかった。恥ずかしすぎて味なんてわからない。ゴクリと飲み込む。

「食べた?偉い偉い」

小さな子どもを褒めるようにローデリヒさんは私の頭を撫でる。私は赤くなった顔を押さえ、ローデリヒさんから目を逸らした。

「アナ?怒ってる?」

「……恥ずかしいんです」

私だけ顔が赤くて、ローデリヒさんは余裕があって。なんかズルい。前に話した時、恋人はいないとローデリヒさんは言っていたのに、キスがとても手慣れていた。悔しい。

「でも、変な薬は入ってないってわかったでしょ?さて、これからどうする?全部口移しで食べさせようか?」

意地悪にローデリヒさんがそう言ったので、「自分で食べます!!」と返事をしてご飯を食べる。……おいしい。私より料理が上手。

「ゆっくり食べていいからね」
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