熱い夜に溺れて
「座って」

ローデリヒさんに椅子を勧められ、私はゆっくり腰掛ける。すると、ローデリヒさんは手錠を取り出して私の足を拘束する。

「監禁されてるって忘れないで」

ローデリヒさんはそう言い、カクテルの用意を始める。私はその様子をバーにいた時のように見ていた。

ブランデーとスイートベルモットをステアし、カクテルグラスに注ぐ。そしてカクテルオニオンをカクテル・ピックに刺して沈める。

「キャロルだよ」

「ありがとうございます」

キャロルを口にすると、甘口のスイートベルモットがブランデーの味を引き出して深い味がした。

「おいしいです」

やっぱり、ローデリヒさんの作るカクテルは特別においしい。こんな状態でもおいしいと思えた。

「キャロルのカクテル言葉は、この思いを君に捧げるだよ」

ローデリヒさんがそう言った刹那、私の唇とローデリヒさんの唇が重なる。今日一日で何回キスをしたんだろう。

お酒のせいで熱くなった唇に、ローデリヒさんは何度も唇を重ねた。
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