熱い夜に溺れて
この国に来たばかりの頃、一緒に服屋で働く同僚と一緒に入ったのが「passion」だった。

「えっと、私、こういうところは初めてで……」

おしゃれなバーに、おしゃれなバーテンダー。一気に緊張してしまった私に、「大丈夫ですよ」とローデリヒさんは笑ってカクテルを出してくれた。レモンが乗せられた白いカクテル。

「……綺麗ですね」

「これは、ラモスジンフィズというカクテルです。カクテル言葉は感謝。このバーに来ていただいたことに、強く感謝します」

「カクテル言葉……。そんなものがあるんですね。初めて知りました」

「調べると面白いですよ」

ローデリヒさんは、私に優しく笑ってくれた。そのおかげで私はカクテルを楽しむことができ、それからは給料日になるといつも「passion」に通っている。

キールやジンライムなど自分でカクテルを頼むのもいいけど、一番私が気に入っているのはローデリヒさんがオススメのカクテルを出してくれるサービス。
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