熱い夜に溺れて
「いいんですか？」

「いいんですよ。店主は僕ですし……。さあ、座ってください」

いつも座る席に誘導され、私は「ローデリヒさんのオススメで」と注文する。お店の中にはクラシックが流れ、人がいないとこんなにも静かなんだと思い知らされた。

「それは嬉しいです。ぜひあなたに贈りたい言葉があったんですよ」

そう言い、ローデリヒさんはカクテルを作り始める。私はその光景をじっと見つめていた。

スコッチウイスキー、スイートベルモット、アロマティックビダーズをミキシンググラスに注ぎ、ステアする。カクテルグラスに注がれ、串刺しにした真っ赤なチェリーも添えられた。

「どうぞ。ロブ・ロイとみかんのクリームチーズアイスです」

赤いカクテルに、私は目を奪われる。とても綺麗で飲むのがもったいない。

「ローデリヒさんはすごいですね。こんなに綺麗なカクテルを作れるなんて……」

そう言い、私はカクテルを口にする。甘さと辛さが口に広がり、アルコール度数が高いとすぐにわかった。
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