熱い夜に溺れて
「どうですか?」

「おいしいです。このカクテルの名前はなんて言うんですか?」

体が熱い。飲んでそれほど時間は経っていないはずなのに……。それに、どうしてこんなにまぶたが重いの?

「知りたいですか?」

ローデリヒさんが私の手を取る。私はコクリと頷いた。

「このカクテルの名前は、ロブ・ロイ。カクテル言葉はあなたの心を奪いたい」

強い眠気に襲われる私を、ローデリヒさんはなぜか楽しげに見つめている。こんなところで寝たら迷惑だ。私はすぐに立ち上がり、帰ろうとする。

「どこ行こうとしてるの?」

いつものような丁寧な口調ではなく、親しい人に話しかけるような口調でローデリヒさんが言った。しかし、今の私は口調が変わったことを気にしている余裕はない。

「すみません。眠くなってしまって……。今日はもう帰ります」

そう言い立ち上がったものの、うまく歩けない。眠くて歩けなくなった私をローデリヒさんが抱き上げる。

「眠くなって当然。だって、君の飲んだカクテルには強力な睡眠薬が入っていたんだから」
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