熱い夜に溺れて
とりあえず、気になる扉の方へ向かう。鎖の長さは出入り口には届かないけど、この扉には届くみたいだ。開けてみると、可愛らしい小物が置かれたトイレだった。

とりあえず、トイレを出てベッドの上に戻る。どうしたらいいのかわからない。そもそもここはどこ?

「えっと……私、仕事から「passion」へ行って……。それでカクテルを飲んで……」

ぼんやりとした記憶が、ゆっくり思い出されていく。そして自分が睡眠薬で眠らされ、今こうして拘束されてしまっていることに恐怖を覚え始めた。

「どうしよう……!!」

鎖を引っ張ってみるが、全く取れる気配がない。壁を叩いたり大声を出してみたけど、何の反応もなかった。

「……ッ」

疲れ果て、私はその場にしゃがみ込む。肩で大きく息をしていると、ガチャリと出入り口の扉から音がした。

「目が覚めたんだ、おはよう。薬の分量を間違えたみたいで一日眠っていたよ」

ローデリヒさんがニコリと笑う。でも、一歩間違えたら私は死んでいたかもしれないのでその笑顔は怖い……。

「ローデリヒさん、この部屋は一体何なんですか?私は一体……」
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