俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方




 「彩華は、おまえを信じてる。………おまえしか愛してないんだ。信じてやれよ」
 「………」
 「それと、今日は彩華は自分であの店に来たわけじゃない。思い悩んだ顔をしてたから、俺が無理矢理引っ張ってきたんだ。それだけは教えとく………あと」


 葵羽に背を向けて歩き始めていたその男は、その言葉と共に歩みも止めた。
 そして、そのまままっすぐ前を向いたまま、最後に葵羽に言葉を残した。


 「彩華がこんどあの店に一人で来て、泣いていたら、その場で彩華を貰う」


 それはその男にとって、葵羽への忠告だったのだろう。
 先ほどまでのどの言葉よりも強く意思の固さを物語る、そんな声音だった。



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