俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
待っている時間は、そわそわしてしまい、スマホが何かを通知する度に、ドキッとしてしまった。
そんな中、彼から連絡が来たのは、彩華がカフェに着いてから約1時間後だった。彩華の自宅の最寄り周辺に到着したとメッセージが届いたのだ。カフェの場所を伝えると、葵羽は近くまで迎えに来てくれた。
「お待たせしてしまい、すみませんでした」
「いえ。ありがとうございます」
助手席に座り、葵羽と2人きりになる。
考えてみれば、葵羽に本音を伝え、逃げてしまってから、彼とは1度も会っていなかった。
ケンカのようになってしまっていたのを、彩華はすっかり忘れてしまっており、2人になってから気まずい雰囲気になってしまった。
彩華がどうしていいのかわからずに、もぞもぞとしていると、葵羽の方から話しを切り出してくれた。
「今日は来てくださり、ありがとうございました。ステージからあなたを見つけた瞬間、とても安心出来ました。………そして、黙っていて、すみませんでした」
「とっても素晴らしいコンサートでした。お客さんもすごく幸せそうに笑顔になっていたし、葵羽さんも楽しそうに弾いていて。あ、もちろんピアノの演奏も素敵でした。うっとりしてしまうぐらいに」
「………ありがとうございます」
彩華は話しているうちに、コンサートの興奮が甦ってきてしまい、熱く語り始めると、葵羽は「ありがとうございます」と苦笑しながら言った。