俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「本当にすごかったんですよ?……感動してCDを買っちゃうぐらいに!」
「CDは私からプレゼントしますよ?」
「いいんです。初めての記念です」
「…………別の仕事の事を話せずにいて、すみませんでした。その事で彩華さんを悩ませて、泣かせて、あんな事まで言わせてしまった。そして、それに気づかず自分の感情ばかりを優先していました」
赤信号になり、車を停止させた葵羽は彩華を向いて、そう言った。申し訳なさそうに眉を下げ、そして真剣な眼差しで謝罪をする葵羽を見て、彩華は優しく微笑んだ。
「私も葵羽さんにしっかりお話出来なかったのも悪いと思っています。葵羽さんが言われて嬉しくない事を聞いて嫌われるのが怖かったのかもしれません。………でも、それは違いますよね。お互いに話さないとわからない事だってありますよね……」
「えぇ、その通りだと思います」
葵羽は苦笑を浮かべながらそう言い、続けて言葉を発した。
「彩華さん。…………今から、私の部屋に来ていただけますか?」
こうなることは、少し予感していた。
彼が自分の事を話してくれると言った時から、きっと葵羽は家に呼んでくれるだろうと。
けれど、いざ本当に葵羽の家に誘われるとなると、緊張してしまうものだった。
だが、これは自分が望んだ事なのだ。
彩華が彼を知りたくて、もっと深い所で繋がっていたくて、そう願った。
彼の問いかけに、迷うことなどなかった。
彩華は「はい」と、了承の返事を返すと、葵羽はホッとしたように微笑んだのだった。