俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
★★★
葵羽は大きな神社の神主である父と、優しい母、そして兄と弟の5人家族だった。
しかし、母親は昔から体が弱く、葵羽が小学生の頃に亡くなった。そのため、父は1人で3人の子ども発ちを育ててくれた。
けれど、父は忙しい人だったため、葵羽と弟の日和の面倒を見てくれたのは、5つ年上だった光矢だった。
光矢はとても優しく、2人の弟の面倒を見てくれた。成績も優秀で、勉強も教えて貰ったし、神社の仕事をよくしていた。父は大きな神社の神主をしながらも、葵羽と彩華が出会ったあの小さな神社の管理も任されていた。そのため、3人はよくその神社の掃除を手伝っていたのだ。
そんな光矢の事が葵羽は大好きで、とても慕っていた。
光矢のようになりたい。そうずっと願っていた。そんな時にピアノに触れる機会が訪れた。それは、音楽の合唱の時間。伴奏者が誰もいないと言われ、教えてもらった通りに楽譜を読み練習したところ、あっという間に弾けるようになったのだ。そんな葵羽を褒めてくれたのは兄の光矢で「すごい!葵羽にはピアノの才能があるんじゃないか?」と、褒めて貰ったのがきっかけだった。もっと褒めてもらいたい。兄を笑顔にさせたい。それだけの想いで、葵羽はピアノの練習を続けてきたのだ。
そのうちに、父も葵羽の腕を見込んでピアノ教室に通わせてくれるようになり、あっという間に、賞をとるまでになった。
そんな順風満帆な日々を送っていた葵羽だったが、高校3年生の時に父が亡くなった。兄の光矢が、神職に就くために大学に通い勉強してやっと神社で働けるようになった頃だった。
葵羽は音大に行く予定だったけれど、父か亡くなった事から諦めようとも思った。それを光矢が止めてくれて。「おまえは才能があるんだ。お金は父さんが残してくれたものもあるし、俺が何とかする」と言ってくれたのだ。
光矢に感謝してもしきれない葵羽は、ピアノの練習だけではなく、学生の頃から作曲もするようになった。動画を投稿していくうちに、楽曲を提供してほしいと言われるようにまでなった。葵羽は音楽界で少しずつ有名になっていき、有名アーティストの作曲もするようになっていた。