俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
彼の苦しみはどうしたら癒えるのだろうか?
彩華はそう思った。
忘れる事はないし、大切の人の記憶。それを失くすのは、葵羽にとってよくないことだ。
葵羽自身、兄の光矢に言われた言葉はショックだったはずだが、兄の状態を理解していたからこそ、本心ではないとわかっていたはずだ。それに、兄の最後の手紙。それに、光矢の本心が書かれていたから。
葵羽は時間という力を借りて、少しずつ自分を取り戻してきたはずだ。
だったら、彩華に出来ること。
それは、傍にいて彼を笑顔にさせたい。
そんな風に考えたのだった。
彩華は彼にキスをされ、ボーッとなりそうな気持ちを何とか切り換えて、彼に応えるように自分からも口を開き、彼へのキスを贈る。
すると、葵羽が薄く瞳を開けこちらを見て、キスを続けながら微笑んだのがわかった。
長い長い口づけ。
少しずつ息が苦しくなってきた頃、葵羽は少し名残惜しそうに唇を話した。彩華は呼吸を少し荒くしながら、葵羽を見つめた。また、いつものようにこれでおいまいなのだろうか?そう思ってしまう。