俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 今は、クリスマスイブの前の夜。
 仕事帰りに葵羽の家に来ていた。明日は2人共仕事を休みにしていたので、ゆっくりと過ごす予定だった。

 少し前に、彩華と葵羽はクリスマスツリーなどの装飾類を買い込んで葵羽の部屋を綺麗に飾り付けしていた。けれど、忙しい日々でクリスマスツリーだけしか自宅に飾れていなかったのだ。そのため、前日になってしまったけれど、他の装飾を部屋に飾ったり作ったりしていた。


 「何を作ってたんですか?」
 「前に保育園で作った、神社のまつぼっくりを使ったツリーと………あとは………」


 そう言って、彩華はリビングのテーブルにあったものを取りに向かい、それを彼に見せた。


 「クリスマス用のガーランドに、画用紙でつくったサンタさんです!」


 そう言って、堂々と彼に差し出すと、葵羽はクスクスと笑っていた。
 保育園でよく作るものばかりだが、よくよく考えれば子どもっぽかっただろうか。
 葵羽は自分でも年上であるし、彩華だっていい大人だ。

 彼に見せてから恥ずかしくなり、「あ、あの………ちょっと張り切りすぎましたね…………子どもみたい」と顔を下に向けて、苦笑する。
 すると、葵羽はそんな事はありません。と笑った。


 「こういうホームパーティーみたいな事は家柄していなかったので、嬉しいです。それに、彩華さんがこういう事をしているのだとわかって、嬉しかったですよ」


 そう言って、彩華の持っていたガーランドとサンタの飾りを受け取った。


 「さぁ、これも飾り付けをして終わらせましょう」
 「………はい」


 彩華は彼の優しさに感謝しながら、パタパタと彼の後を追いかけた。
 今日から2人だけのクリスマスパーティ。今までにないぐらいに幸せな時間になるだろうと、彩華は今から心を踊らせていた。


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