俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「………告白するのが遅かったようですね」
「え………」
「私の勘違いや自惚れでなかったのならば、彩華先生は私の事を好きでいてくれると思っていました。少し前までは、それに応えられる自信がなかったんです。けれど、今はあなたと一緒に居たいと思ったんです。……けれど、今のあなたの顔は、とても困っています、ね?」
「………葵羽さん、ごめんなさい」
葵羽の指摘は彩華の気持ちを理解している、的を射た答えだった。
葵羽に抱きしめられていた彩華は、ゆっくりと後ろに下がる。すると、彼の腕が離れ、そして温かい体温を感じられなくなる。それが、少し寂しく感じた。
彩華は深く頭を下げた後、葵羽の瞳を見つめた。彼の表情は変わらずに真剣なままだ。
「葵羽さんが言ったように、私は葵羽さんが好きで、そして憧れていました。今でもそうだと思ったのです。………けれど、告白してもらってから1番初めに出た感情は迷いでした。だから、困惑してしまい……そして、今の自分の気持ちは違うのだと気づきました」
「…………それは、手を繋いで歩いていた男性、ですか?」
「まだ、わからないのですが……でも、頭の中に過る事が多いです」
「そう、ですか。……人の出会いは不思議ですね。その一瞬で人の心を変えてしまう出会いになるのだから」