俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 「もう1回言って?」
 「……祈夜くんが好き……」
 「…………うわ………やばいな………嬉しすぎる」


 そう言って祈夜は手で口元を覆った。
 彩華はその言葉が嬉しかった。


 「もう1回言わせて。………俺と付き合ってくれないか?」
 「………はい」
 「ありがとう………本当に嬉しい」


 そう言うと祈夜はハニカミながら微笑んだ。
 目の前には自分の好きな人。そして、その人は自分を好いてくれている。それがとても特別な事だと、胸がいっぱいになった心でわかった。

 お互いに微笑み合った後。
 祈夜の手を自分の頬に伸びてきた。目を細めて、とても愛おしそうに自分を見てくれる。彼の指が頬に触れる。

 彼が何をしようとしているのか。
 経験がない彩華であっても、それぐらいは理解出来た。
 恥ずかしさと、ちょっとした期待、そして幸せさを感じながらゆっくりと瞳を閉じる。自分の全感覚が唇に集中しているような気がした。
 ドクンドクンッと、胸が高鳴る。

 祈夜とキスをするんだ。


 そんな風に思った。

 


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