俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 「おまえ、もしかしてどうして俺がこんな所に住んでるかって思ってるだろ?」
 「……あ、えっと、それは………」
 「まぁそうだよな。若い方だと思うし、不思議にも思うか」


 祈夜はそう言いながらエレベーターを降りて、さっさと歩いていってしまう。1階にはあまり部屋数も多くなく、1つの部屋が大きいのだというのがわかった。その1番奥の部屋に向かうと鍵を開けた。


 「しっかり一人暮らしだから見て」
 「う、うん………お邪魔します」


 祈夜に招き入れられ、彩華は迷うことなく彼の部屋へと入った。
 新しいマンションなのか、部屋の中もとても綺麗だった。玄関に乱雑に置かれた靴や車の鍵が置いてある。
 そのまままっすぐの廊下を進む。中央には、リビングとダイニングがあった。リビングには放置されたゲームやDVDのケース。そして、ペットボトルやお菓子の袋が置いてある。ダイニングはほとんど使っていないのか手紙や書類などが散乱していた。
 一人暮らしの男の部屋となると、こういう感じなんだなと、彩華は初めての異性の部屋にドキドキしてしまった。


 「悪いな綺麗じゃなくて、ソファ座ってて」
 「ありがとう」


 祈夜はそう言うキッチンの方へと行ってしまうので、緊張しながらもソファに座る。柔らかいソファに腰を下ろしても、体の力は抜けることはなく、彩華は思わずキョロキョロとしてしまう。カーテンの隙間から、街の明かりが見え隠れしている。マンションの上層階だったため、眺めが良さそうだと彩華は思った。



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