俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 「はい。こっちに置いとく」
 「ありがとう」


 祈夜は2つのカップを持ってリビングにやってきた。甘い香りが部屋に漂う。ココアの香りだった。
 彩華は祈夜の方を見ると、彼はすぐにココアを飲むわけではなく彩華のすぐ隣りに座った。


 「とりあえず、こうさせて………」
 「……ぇ………、あっ………」


 祈夜は彩華の腰に腕を回し、彩華を抱き寄せた。あっという間に彼の腕に包まれてしまい、彩華は慌てて声を上げた。


 「い、祈夜くん……急にだとビックリする」
 「いいだろ?恋人になったんだ。………本当に俺を選んでくれたんだって実感させてくれ」
 「………うん」


 彼の体温や鼓動、香りを感じる。少しお酒のような甘くて酔いそうな香り。彩華が見せに来る前に少し呑んでいたのか、料理でもしていたのだろうか。
 全身で愛しい人を感じられて、彩華は恥ずかしさを感じながらも、もっと彼を感じたくて目を閉じた。すると、瞼の上にふわりとした感触を感じる。


 「彩華……キスしてもいい?」
 「…………今、キスした?」
 「唇にもしたい」
 「………やっぱりしたのね」
 「なぁ、いい?」



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