俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
彩華が落ち着いた後、祈夜はそのまま手を取り彩華を寝室まで連れていった。
リビングを出てすぐの部屋が寝室で、ベッドとクローゼット、そして間接照明だけのシンプルな部屋だった。大きな窓は、しっかりとカーテンが閉まっている。ベッドは彼が起きたままにしていたのか、乱れたままだ。
彩華をベッドに座るよう促すと、祈夜も隣に座り、また彩華にキスをした。
何度かキスをした後、口の中にぬるりとした感触を感じ彼の舌が入ってきたのがわかった。今まで感じたことのない感覚に、彩華は体を震わせる。彼の舌の動きに翻弄されながらも、体はまた熱を帯びて力が入らなくなる。
それを祈夜は察知したのか、優しく彩華を押し倒した。
彼のベットに横になると、一気に視界が変わる。祈夜は彩華を見下ろしながら、優しく微笑んで頬に手を添えた。大人の男性をこうやって見るのは初めてのだが、彩華は熱っぽくなった彼の視線、そして、濡れた唇を見てドキッとしてしまう。
年上の男の子のはずなのに、妙な色気を感じてしまったのだ。
祈夜は覆い被さるように彩華の首元に顔を寄せる。そして、首筋をペロリと舐める。彩華は感じた事のない、体の真ん中が痺れるような感覚と、足の付け根や腰が疼いてくるのを感じた。
知らない感覚に驚き、少し恐怖を感じ咄嗟に彼の肩に手を付いた。
「まっ、待って!」
「……何?……もう止められないんだけど?」
「……あの、私………こういう経験したことないから上手く出来ないかもしれないし、変な所とかあるかもしれないよ?」
「俺だって、そんなに経験あるわけじゃないんだ。お互い様だろ」
「でも………」
彩華が口ごもると祈夜はまた首筋や、鎖骨に舌を出しながらキスをしてくる。彩華はその度にビクッと体を震わせる。
「怖かったり、痛かったら言って……」
「う、うん」
「あと、気持ちよかったらイイとも言って欲しい。彩華の好きな所覚えたいし」
「………そんな恥ずかしい事言えないよ」
「知りたいんだ。だから、教えて」
「………努力します」
「………なぁ彩華………」
「うん?」
「大切にするから」
「………うん」
彼のその言葉と表情はとても優しくて、思わず涙がこぼれそうになった。
その夜の事は一生忘れないだろう。
こんなにも愛しい人と肌を触れ合わせる事が幸せで、彼を感じられる事が気持ちよくて、そして愛おしいと知った夜。
彩華と祈夜は手を繋いだまま、夜を過ごしたのだった。