俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「彩華はずっと保育士かー。今度、仕事してるところこっそり見てみたいな」
「ダメだよ。恥ずかしい………。祈夜くんはどんな仕事をしてるの?」
「んー、創作系?まぁ、絵を描いたりしてる」
「そうなんだ………デザインとか?」
「またちょっと違うけど………」
「どんなのか見てみたいな」
「そのうちなー」
少し恥ずかしそうに返事をする祈夜を見つめながら、彩華は妙に納得してしまった。
彼はスーツなどを着ている事はなく、いつも私服だった。それに、連絡が来る時間も決まっていなかったので、サラリーマンではないだろうなとは思っていた。それに、自分をしっかり持っている所は職人気質のような気がしていたのだ。
どうやら彼は自分のやっている事を見せるのが恥ずかしいらしい。彩華自身も仕事をしている所を見られるのは恥ずかしいと思っていたのでお互い様だなと思う。
いつか、彼の作品を見れたらいいなと彩華は思った。
その後も話をしていると、彩華はまたウトウトしてしまう。それに気づいた祈夜は、リモコンを使い寝室の照明を暗くした。
「ん………もう寝ちゃうの?」
「彩華が眠そうだから」
「もう少しだけ……」
「明日は早く起きて1回家に帰ってから出勤だろ?早く寝た方がいい」
「そうだけど」
「俺たちは付き合い始めたばかりなんだ。これからたくさん時間はあるだろ」
「………うん」
祈夜にそう言われ布団を肩までかけられ、そして布団の中では彼に抱きしめられる。
彼の体温のせいか、布団の中はすぐに温かくなった。
「おやすみ」
「おやすみなさい、祈夜くん」
祈夜は彩華の頬にキスをしてくれた。
その顔が少し赤くなったのに気づいたけれど、彩華は笑顔のまま目を閉じた。
初めて出来た恋人。
そんな特別な彼と過ごす時間は、経験したこともないぐらいに幸せで、どれも胸が高鳴り苦しくなってしまうほどだった。
好きな人と同じ時間を過ごすという事がこんなにも幸せだと、彩華は感じることが出来た。
彼よりも早く起きて、祈夜の寝顔を見たいな。
そんな事を思いながら、彩華はすぐに眠りについたのだった。