俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「またって、いつもこうなの?」
「兄貴が帰ってくるといつもこうだ。兄貴は少しだけホストクラブで働いてたんだ。この店を続けるために資金を稼いでた。だけど、すぐにその目標金額を達成するぐらいに人気になってしまったみたいで。けどすぐに辞めてこの店で働き始めたら………」
「ホストクラブのお客さんが来るようになったのね」
「あぁ……まぁ、ある意味大盛況で、経営も上手く行ってるけどな」
「………お兄さん、すごいね」
「………尊敬してるよ。本当に」
苦笑しながらそういう祈夜だったが、その眼差しはまっすぐ兄に向けられていた。表情や声のトーンで彼が月夜を大切にしているのは、伝わってきたので、彩華は心が温かくなった。
「そこまでこの店を始めたかったんだね、お兄さん」
「親父とお袋が作った店だからな。2人とももうそろそろ引退するって店を売ろうとしたんだけど、それを兄貴が止めたんだ。「自分が跡を継ぐ」ってな」
「かっこいいね、お兄さん」
「あぁ」
お客さんに囲まれ、いろいろな話しをしている月夜。仕事が捗らないだろうが、月夜はとても嬉しそうだった。
こうやって、両親が作った店を続けられるのが嬉しいのだろうな。そんな風に彩華は感じて、祈夜と一緒に笑顔で接客をする月夜をニコニコと眺めていた。