俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 オープン前の時間を狙って店に到着する。
 彩華が店の窓から店内を覗くと、開店の準備をしている月夜がこちらに気づき、笑顔で手招きしてくれた。


 「……こんばんは。開店前にすみません……」
 「いいんだよ、いらっしゃい。今日は、祈夜と一緒じゃないんだね」
 「はい。祈夜くんは仕事があって……お腹が空いてしまって、お兄さんのご飯食べたくなって来ました」
 「それは嬉しいね。どうぞ」


 カウンター席に招いてくれる月夜は、席を引いて案内してくれる。女性のエスコートがとてもスマートだ。


 「今日はいい牛肉が入ったんだ。ステーキにしてもいい?数量限定だよ」
 「月夜さん、商売上手ですね。ステーキお願いします」
 「今日は僕の奢り。この間、迷惑かけちゃったからさ」


 そう言うと、キッチンにいたスタッフに料理をお願いして、月夜はワインを開けて彩華に渡す。


 「この間………」
 「そう。お客さんたちが彩華ちゃんと祈夜に迷惑掛けちゃったからさ」
 「………私は大丈夫ですよ。……それに、実はその事で月夜さんに話があって来ました」
 「え………」


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