俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
そんな騒動が終息に向かい、彩華はまた彼との穏やかな時間を過ごせると思っていた。それに、世間ではクリスマスムード一色。
初めて出来た恋人。そして、恋人と過ごすクリスマス。それを楽しみにしない女性はいないだろう。もちろん、彩華もそんな女性の一人だった。
どこかのお店でお洒落に過ごすのか、それともどちらかの家でまったりとクリスマスツリーを眺めながら過ごすのか。クリスマス一色の街を2人で歩き、イルミネーションを見るのもいいな。
最近は、そんな事ばかり想像してしまう。
「ねぇ、祈夜くん!クリスマスどうしようか?」
クリスマスが今月になった12月の頭。彩華は電話越しに彼にそう質問した。
男の人はクリスマスに興味がないのだろうか。祈夜は全くそんな話を出してこなかったのだ。痺れを切らした彩華が自分から話を振ったのだ。
すると、祈夜は電話口で少しの間の後に、小さく返事を返した。
『………悪い。今、忙しくてクリスマスは会えない』
「え………」
『年末には会えるように時間作るから』
「そ、そっか………大変だね」
どうにか冷静を装って返事をしたけれど、心の中では「えぇーー!?」と叫びたいぐらいだった。
その電話を最後に、彩華はしばらくの間彼と会うこと出来なくなった。