俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「あー………何でこんな忙しい時期にパソコンが動かなくなるのー!」
フリーズしてしまったパソコンの画面を見つめながら、ため息と共につい大きな声が出てしまう。
仕事をしている内に何故かパソコンが動かなくなってしまったのだ。あと少しで書類が完成するという所だったので、彩華はがっかりしてしまう。幸いSDカードにデータは保存したばかりだったので、休みを返上して作り上げた書類がパーになることはなかった。けれど、ここまできたら完成させたいのが本音だ。
そこで、彩華はしばらく考え込み、ある事を思い付いた。
「確か、駅近くのネットカフェでパソコン使えたはず!」
思い立ったが吉日。彩華はすぐにコートを来て財布にスマホ、そしてSDカードと鍵をバックに入れて家を飛び出した。
外はもう夕焼け色に染まっていた。吐く息は白く、気温が下がっているのがわかった。「寒い…………」と、思わず独り言がもれてしまうほどだった。
家から小走りで駅周辺へ向かう。
すると、今日はやけに人が多いように感じた。休みの日だからだと思いつつも、恋人同士が目立っていた。皆が、とてもワクワクした様子で歩いている。そして、クリスマスツリーの前で写真を撮ったり、眺めたりもしているのだ。そこで、彩華はようやく気づいた。
「そっか……クリスマスデートか」