俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
1話「淡い恋との出会い」
1話「淡い恋との出会い」
それは今から1年ぐらい前の秋の日。
空が高くなり、風が冷たくなってきた頃だった。地面には少しずつ落ち葉の絨毯がひかれ始め、子どものようにカサカサッと落ち葉を踏む音を楽しみながら、天羽彩華(あもうさいか)は散歩をしていた。
職場の近くの神社があり、彩華は仕事の帰りに神社の敷地内を歩いていたのだ。小さな神社だが、大きな木に囲まれたその場所は、とても神秘的だった。駅の近くにある住宅地の中にポツンとあるとは思えないほど、静かな雰囲気だった。
仕事帰りに通る事はあっても、中には入ったことがなかった。
夕日で赤く染まる神社の中を、彩華は景色を楽しみながらゆっくりと歩いていた。
「わぁー!沢山落ちてる!これぐらい大きいと子ども達も塗りやすいかな?」
彩華は目的のものを見つけて、思わず歓声を上げながら、落ち葉の上にちょこんと落ちている物を拾った。
「松ぼっくり。うん、いい感じ」
彩華は思わずしゃがみこみながら近くに落ちてる松ぼっくりを何個か拾う。すると、すぐに両手いっぱいになった。
「こんなに立派で綺麗な松ぼっくりがあるなんて。みんな喜ぶだろうなー」
彩華は自分のクラスの子ども達の笑顔を思い出して、微笑んだ。