俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
その紙袋の漫画本とにらめっこをする事、数分。
彩華がその漫画を凍った瞳で見つめていると、「あ…………」という、低い声と共に祈夜が彩華を見つめていた。ヤバイ、という文字が顔に書かれていると言ってもいいぐらいにひきつった表情だった。
「祈夜くん…………これって」
「………おまえ、何でそれ見てんだよ………」
「………祈夜くん………こういうの好きなの?」
「いや、それはその………あれだ……」
彩華が動揺する彼をジロリと睨み付けると、思わぬ威圧を感じたのか祈夜がたじろぐのがわかった。それを見て、彩華は彼はこういう物が好きなのだと思ってしまう。
仕方がない事だ。そうは思いつつも、彩華の中で割りきれない思いもあった。
「…………」
「彩華、だからそれは誤解で………!」
「……祈夜くんは大きいおっぱいが好きなんだね」
「…………はい?」
恥ずかしさを堪えて、彼に訴えかけた言葉。彩華は顔を真っ赤にして、そう言ったけれど、当の祈夜は検討違いだったのか、ポカンとした表情になっていた。それを見て自分が何か間違った事を口にしたのだと察知して、彩華は顔だけではなく耳や首元まで赤くした。
「………そこ気にしてんのかよ………普通、男の家でそういうの見つけたら、エッチだの変態だの言うだろ………」
「え、そうなの………?」
「いや、わかんないけど……」
「だって、どの漫画本も胸がおっきい女の人ばかりだから、祈夜くんの趣味なのかと……」
「違う………資料として集めたらそういうのばっかりなんだよ。大体男向けのなんて、巨乳ばかりだろ………」
「………え……資料………?」