俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
床の上に膝をついて座っていた祈夜は、彩華に首の後ろに手を伸ばして彩華の顔を引き寄せた。そのまま祈夜は、下から唇にかぶりついた。ただのキスではなく、舌を絡めとる濃厚なもので、彩華は思わず体を震わせた。体が痺れるように熱を持ち、彩華からもキスをしようと彼の肩に片手を置こうとした。
「この続きは後で。………俺も頑張るから、彩華も頑張って」
「………祈夜くん、ずるいよ」
「そうその表情がいい」
久しぶりに祈夜を感じた体は、あっという間に欲情してしまい、恥ずかしいぐらいに彼を欲してしまった。それが潤んだ瞳にも、赤く染まった肌にも表れてしまい、隠し通す事など出来るはずもなかった。それに、キスで熱くなった体を我慢することは無理だった。
けれど、祈夜はスケッチブックと鉛筆を持って、椅子に座ってしまう。
「さっきのポーズにして……そう、そんな感じ」
「………意地悪」
「俺のためにしてくれるんだろ?」
「………もう………」
彩華のその言葉が最後になった。
それからは、昼下がりの穏やかな時間。リビングにはクーラーの音と、彼が鉛筆を走らせる音だけが聞こえていた。