俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「……祈夜くん………」
彩華はしばらくその綺麗指輪に見入ってしまったが、すぐにハッとし、急いで体についた泡を流して、お風呂場を飛び出した。彼が準備してくれたタオルで体を拭き、彼が買ってくれた部屋着を着込んで、リビングにいるであろう彼の元へと小走りで向かった。
「祈夜くんっ!!この指輪………っっ!」
「彩華……やっと気づいた?って、まだ髪が濡れたままになってる。そんなに急がなくていいのに」
「これって………」
「クリスマスプレゼントにきまってるだろ」
当たり前のように言う祈夜は彩華からタオルを取って髪をゴシゴシと拭いてくれる。心地よさを感じて甘えたくなるけれど、彩華は指輪を左手で包みながら彼を見つめた。
「………ありがとう、祈夜くん。とっても嬉しい」
「まぁ……俺が欲しかったから買っただけだから」
「え?」
「恥ずかしいけど………ペアリングにしたかったから」
顔を真っ赤にしながら右手で顔を覆う彼の薬指には同じデザインの指輪がはめられていた。
それを見た瞬間に、彩華は胸がきゅーっと締め付けられる感覚に襲われた。彼が愛おしくて、すぐに抱きしめたくなった。