俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「………俺の家だし、俺の彼女なんだからいつキスしてもいいと思う」
「………いじけないの。もう料理は出来てるから、皆さん座ってください」
「わーい!雪音姉さんのお料理おいしいから、好きなんですよね」
「すごいご馳走ですね!ありがとうございます」
並べられた色とりどりの料理を見て、皆が笑顔になってくれると、彩華は頑張ってよかったと誇らしくなる。
そこからは賑やかなパーティーが始まった。アシスタントの人たちは皆祈夜の作品が大好きな漫画家の卵達だった。そのため、自然と祈夜の話になる。
「デビュー作をこえましたよね、今作は!その作品に自分が手伝った絵が載るなんて、幸せです!」
「あー………こいつ酔ってるな」
「そんな事ないですよー。みんな、祈夜先生のアシスタントになれてよかったって思ってるんですから」
「褒めても何も出ない」
「毎回貰ってますから」
「………何を?」
「「「新作をいち早く読む権利っっ!」」」
「………なるほど」
そう言ってアシスタントの3人は笑っていた。無表情に見える祈夜だったけれど、彩華には楽しそうにしているのがわかっていた。
普段1ページに1ページに力を込めて丁寧に作り上げている彼。そんな祈夜の作品を愛してくれるのだと思えると、彩華は自分の事のように幸せに感じられた。
こんな素敵な彼が自分の恋人だと、信じられなくなるぐらいだった。
「この作品を読んでると、先生が彩華さんを本当に大切にしているのがわかりますよね」
「………え?」
「そうそう。漫画以上に仲がいい2人で羨ましいぐらいです」
「あのヒーローとヒロインにも同じように幸せになってもらいたいですよ」
「………まぁ、それは俺の気持ち次第だ」
「大丈夫ですよ。祈夜先生はハッピーエンドしか書かないと知ってますから」
「祈夜先生の作品、昔のものも好きですけど、彩華さんと恋人になってからの作品は、もっといいです!!」
「…………なんか、それ嬉しいです。ありがとうございます」
彩華が照れながらそう言うと、アシスタントの皆もそして祈夜も微笑んだのだった。