俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「………なぁ、俺、おまえの事気になってんだけど」
「え………?」
「俺と付き合わないか?葵羽って男より幸せにする自信あるけど。おまえを不安にさせたり、悲しませたりはしないよ」
「………な、なんで急に…………」
突然の告白に、彩華はたじろぎ思わず後退りしてしまう。けれど、手を繋いでいた祈夜がそれを許すわけもなく、先程より強く手を握りしめながら「逃げんな」と、彩華に言った。
「声を掛けたのはたまたまだけど、でも今一緒にいて何か気になった。話してて可愛いなって思ったし、もっと一緒に居たいって思った。もっと、彩華を知りたいって思った。……それだけじゃ、だめか?」
「そんな……突然そんな事言われても、困るよ……」
「………あいつが好きだから?」
「そ、それは………」
祈夜の告白に驚きながらも、彩華は彼がそういう思いで自分を見ていてくれた事が、イヤじゃないと思えた。
言葉は乱暴だけど優しくて思いやりのある彼。料理上手だし、お店のスタッフやお客さんからも愛されているのがわかる、彼の性格や気くばり。恥ずかしがり屋なんだろうなと思う部分もあったけれど、こうやって真剣な表情で告白してくれるのを見て、男らしさも感じてしまう。
きっと、とてもいい人なのだろう。
けれど、会ったばかりの人を好きになる事なんてあるのだろうか。
好きという気持ちに疎い彩華は、彼の気持ちがよくわからなかった。
「………葵羽さんの事とは別に……会ってすぐに好きになるって、よくわからないかな………」
「おまえはそうかもしれないけど、俺は好きになったんだよ。仕方がないだろ」
「そうだけど………」
「すぐに答えを出さなくてもいい。………でも、俺の気持ちは否定しないでくれ」
「………うん。ごめんなさい……」