俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
しかし、その願いは神様には届かなかった。
いつものように、神社の敷地内の落ち葉の掃除をしている葵羽が居た。
「あ………彩華先生。こんにちは」
「こんにちは、葵羽さん」
一瞬眉毛が下がり困った顔になったのを彩華は敏感に察知した。けれど、その表情は一瞬でいつもの穏やかな笑顔になった。
子ども達に挨拶を促した後は、いつものように自由遊びだ。
子ども達の様子を横目で見ながら、彩華は葵羽の方を向いた。
彼と視線が合うとやはりドキドキしてしまう。
「先日はお祭りに誘っていただき、ありがとうございました。」
「いえ。こちらこそ、来ていただきありがとうございました。………あの後は無事に帰れましたか?」
「あ、はい………」
彩華はドキッとしてしまう。
まさか、知らない男の人に助けて貰って、その人のお店でご飯を食べた後に告白されました、など言えるはずもなく、彩華は曖昧に返事をする。
すると、「そうですか……」と、何故か安心した様子に微笑んだのだ。葵羽は電車が止まっていた事を知っていたのだろうか。
「あの………葵羽さん。あの日は、葵羽さんの事を考えずにお食事にお誘いしてしまってすみませんでした。……私が………軽率でした」
「え……あ、そんな事はないですよ!あの、彩華先生にお話視したいことが………」
「彩華せんせーい!けいた君が転んで足から血出てるよー!」
葵羽の言葉を遮る幼い声。
広場で遊んでいた子どもが彩華を呼んでいるのだ。