俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「あ……大変っ?!………今行くからねー!葵羽さん、すみません………」
「いえ。子ども達の所へ行ってあげてください」
「はい」
葵羽が何を言いかけたのか気になったけれど、子どもが怪我をしてしまったのを放っておく事は出来ない。散歩リュックから救急箱を取り出して、子ども達の元へと向かった。
子どもの怪我は転んだときに出来たかすり傷だが、泣いてしまっていたので今回は早めに散歩を切り上げて帰ることにした。
葵羽には「お騒がせしました」と謝罪をしたけれど、彼は「お大事に」と言うだけだった。
いつものように子ども達に優しく手を振って、葵羽は見送ってくれたのだった。
その日は保育参観の準備があり夜遅くまで仕事をしていた。
けれど、葵羽の言葉の続きや祈夜のメッセージの返信を考えてしまい、集中する事が出来なかった。後輩からも「珍しく、ため息多いですねー!大丈夫ですか?」と、心配されてしまうぐらいだった。
なんとか保護者に配布する資料を作り終えた彩華はフラフラになりながら保育園を出た。
「うー………今日は疲れた………ご飯食べないで寝てしまいたい」
そんな言葉が自然と出てしまうぐらいに彩華は疲れていた。いつもより考え事をしていたからだろうか。
仕事が好きで毎日イキイキと仕事をしていたので、久しぶりにこんなにも疲れてしまい、大きくため息をついた。いつもよりも、何倍も疲労を感じていた。
恋愛はやはり自分には向かないのだろうか。
こうやって仕事中も考えてしまうほどに夢中になってしまうとは思っても見なかった。
それでも、結局はどうしていいのかわからないのだ。