俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 「彩華っ!」
 「っっ!!」


 誰かに名前を呼ばれ、そして右手に温かい感触。誰かなど考えなくてもわかってしまう。

 彩華が振り向くと、そこにはむすっとした祈夜が立っていた。

 
 「祈夜くん………」
 「おまえ、何既読スルーしてんだよ」
 「ご、ごめん………どうしていいのかわからなくて」


 彩華は気まずくなり、思わず視線を下に向けてしまう。彩華が歩いていたのは駅近くの少し繁華街から離れな場所だった。祈夜の店にも近い場所だ。彼が居る事も考えたけれど、こうやって偶然会うはずとないと思っていた。
 けれど、こうしてまた出会ってしまった。これも何かの縁なのだろうか。

 彩華の答えが気に食わないのか、祈夜は強い口調で「なんだよそれっ……」と、言い捨てた。




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