俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
彼の声が耳元で聞こえる。
それがとても心地よくもくすぐったい。けれど、もっと聞いていたい。恥ずかしい。
そんな葛藤があった。
葵羽は強く強く彩華を抱きしめており、逃げることなど出来ない。甘い声から彩華は逃げられないのだ。
「…………だからこそ、あなたが違う男と手を繋いでない歩いているのを見て、すごくショックを受けました。…………あの人はあなたの恋人ですか?」
葵羽の言葉を聞いて驚いた。彼は祈夜と歩いているの姿を見ていたのだ。
彩華は動揺したものの、彼には話さなければと思っていた。
………気持ちを教えてくれたからこそ、自分の話をしなければ、と。
「………私も葵羽さんにずっと惹かれていました。初めて好きだと思える人が出来た。それは葵羽さんでした………ですが、少し前に彼と出会ったのです。彼とは恋人ではないですが、その………気になっていると好意を伝えてくれた相手です。」
「では………あなたは彼ともう………」
「………自分の事なのにわからないのです。2人の人が気になるなんて、小説や漫画だけだと思っていました。恋愛とは縁がない私だったのに、どうして急にそんな風になるかわからないんです。………ごめんなさい」
「そうでしたか。でも、あなたが私の事を好きでいてくれたなんて、嬉しいです」
「葵羽さん…………」
葵羽はそう言うと、彩華の髪を優しく撫でた。