俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 「どちらの保育園にお勤めですか?」
 「すぐ近くの坂を登ったところにある保育園です」
 「あぁ……よく散歩をしていますよね。もしよかったら、子ども達とここに松ぼっくりを取りに来てはいかがですか?」
 「え………お邪魔してもいいんですか?」
 「えぇ。きっと子ども達の声を聞いた方が喜んでくださると思います」


 その男性は本殿を振り返りながらそう言ってくれた。神様も喜んでくれるという事なのだろう。彩華は、彼の優しさに微笑みながらお礼を伝えた。


 「ありがとうございます。ぜひ、お邪魔します」


 彩華はお礼を言って頭を下げる。
 すると、その男はクスクスと笑っていた。


 「松ぼっくりでこんなに喜んでもらえるなんて。じゃあ、お礼にさっきの歌、教えてくれませんか?」
 「えぇ………それは、恥ずかしいです」
 「上手だったのに……残念です」


 こんな綺麗な人が楽しそうに笑っているのを近くで見るなど今まで経験がなかった彩華は、胸が高鳴るのがわかった。

 天気が良かったら明日か明後日の午前中にお邪魔すると伝え、彩華は神社を後にした。





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