俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
茉莉の言う通り、祈夜を選ばないだからと言って、彼の心配をするなど失礼な話なのかもしれない。彼の気持ちはとても嬉しい。けれど、彩華は祈夜ではない人を選ぼうとしている。それをしっかりと伝えて、祈夜の幸せを願う。それが彩華のする事なのだ。
祈夜はどう思うかわからない。
けれど、彼とは恋人になれないからと言って縁を切りたくないなと思っていた。それはお見せのスタッフに言われたからではなかった。
彼に助けられ、背中を押された。
飾らない自分でいいのだと言ってくれた。それが彩華にとって勇気になっていたのだから。
「………今度、祈夜くんに会って、しっかりごめんなさいって話してくる。もちろん、感謝してることも」
「うん。それがいいと思うよ。きっと、これからもいいお友達でいてくれるよ」
茉莉がニッコリと笑ってそう背中を押してくれる。
自分の決めた事をしっかりと彼に伝えよう。
祈夜なら彩華が決めた事を受け入れてくれるはずだと信じていた。
「じゃあ、葵羽さんっていう人が彩華の初めての恋人になるのかー。年上だししっかりシードしてくれるんじゃない?イケメンで高級車乗ってるなんて、絶対モテるだろうから経験豊富そうだし」
「………それなのに、私なんかのどこがよかったんのかなって不思議だよ」
「いや、不思議なのは今まで彼氏がいなかった事よ。こんなに純粋で可愛いのに」
「そんな事………」
「彩華からどんな惚気話が聞けるか楽しみだなぁー。しばらく日本にいる予定だから、しっかり話聞かせてもらうからね」
久しぶりに再会して親友との楽しい時間はまだまだ続くのだった。