俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
彼が予約してくれたお店はハンバーグが有名なお店で、お店に入った瞬間にとても美味しそうな匂いが迎えてくれた。
お店の一番奥に案内され、葵羽と彩華が通されたのは小さな個室の部屋だった。
「個室があるんですね」
「えぇ。たまたま空いていたので、ゆっくりしたいなと思って予約しました。ここのチーズケーキも美味しいらしいので、それもいただきたいなと思いまして」
「楽しみです」
葵羽が個室を用意してくれたのは、彩華が話があると言ったからだろう。言葉にしてくても、彩華の事を気遣ってくれる。やはり、葵羽は素敵な人だなと彩華は感じていた。
葵羽のおすすめのハンバーグを2つ頼んだ後は、葵羽は子ども達の事を聞いてきた。「今はどんな事をやっているのですか?」や「発表会に行ってみたいですね」など、まるで子どもを預けている保護者のように楽しそうだった。
「葵羽さんは、本当に子どもが好きなんですね」
「えぇ。すごく愛らしいと思います。育てたことがないので、きっと大変だろうな、とは思ってますが。だから、彩華先生はすごいなと思っていますよ」
「いえ………やはり、集団という場ですし、先生という立場だから子ども達は話を聞いてくれたり、やってくれる部分もあると思うので。子育てをしたら、私も苦戦しそうです」
「………子どもが大好きな彩華先生に育てられたらその子どもは嬉しいでしょうね。もちろん、その旦那さんも」
「…………あ、ありがとうございます」
葵羽の言葉に顔を赤くさせていると、タイミングよく料理が運ばれてきた。
熱々とした鉄板に乗せられた、とても美味しそうな楕円形のハンバーグ。パチパチと細かく跳ねる油の音が響いている。
彩華が一口サイズに切ったハンバーグをフォークで口に運ぶと、とてもジューシーでおいしい肉の味が舌に広がった。
「わー、美味しいです!」
「喜んでもらえてよかったです。私もここのハンバーグ大好きでよく来るんです」
「そうなんですねー!なんか、和食とかのイメージでした」
「それはよく言われますね。神社で奉仕しているからですかね。本来は、ハンバーグとか、オムライスとかラーメンとか大好きな子どもみたいなんですけどね」