俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方




 彩華は自分の気持ちを確かめつつ、彼に自分の想いが少しでも沢山伝わるようにと、丁寧に言葉を伝えたつもりだった。
 彼の目を見て話しているつもりだったけれど、恥ずかしさから少し俯いてしまっていたようだった。
 彩華は彼の表情を伺うと、葵羽はとても真剣な顔をしていた。けれど、もしかしたら彩華が不安そうにしていたのかもしれない。目が合うとまた、いつもの柔和な笑みで見てくれたのだ。


 「………沢山、考えてくれてありがとうございます。彩華先生の言葉、とても嬉しいです」
 「………葵羽さん。この前の話しのお返事をさせてください。………葵羽さんの事が、好きです………」


 表情が高くなっているのはわかった。けれど、彼に笑顔で伝えたい。そう思って、彩華はぎこちないけれど微笑みながらそう言った。顔は赤くなり、体は少し震えていたかもしれない。

 けれど、葵羽はそんな彩華の姿を見ても笑うことなどなく、とても嬉しそうに微笑んでくれた。それは、彩華が見たなかで1番華やかな物だった。



 「ありがとうございます。とても嬉しいです………これからは、彩華先生ではなく、彩華さんって呼べますね」
 「………はい」

 
 葵羽はそう言うと、また小さく「彩華さん」と確かめるように名前を呼んだ。
 葵羽の少し低い声がとても心地よくて、彩華は自分の名前なのにそれが違う言葉のように感じてしまった。


 「私も彩華さんが好きです。………2人でいろいろな幸せな事、しましょうね」



 葵羽の言葉が耳に入ると、彩華の瞳にはうっすらと涙が浮かんだのだった。



 
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