俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
街中を歩きながら彩華は先程の彼の事を思い出した。とても綺麗で柔和な雰囲気を持っているけれど、話してみると楽しい人だなと思った。自分より年上だろうと思われる彼はとても紳士的で素敵だな、と思い出してもドキドキしてしまう。
今まで仕事に熱中していたし、学生の頃も女友達と遊ぶことで満足してしまい、恋愛に夢中になった事などなかった。好きな人もいた事もなければ、好きな芸能人やアーティストなどもいなかった。告白された事もなく、きっと自分には恋愛は合わないんだろうと思って少し諦めていた。
それなりに身なりは整えているし、ダイエットだってしている。好きな服を着て買い物をするのだって好きだ。
恋愛小説や漫画、映画をみて、ドキドキしたり感動して泣いたこともあるし、素敵な人と過ごしてみたいなと夢見たこともあった。
けれど、誰かを好きになる事など1度もなかったのだ。
「好き」という気持ちはどんな感じなんだろうか。
お菓子が好き、本が好き、子ども達が好き。
それと何が違うのだろうか?
そんな事を、友人に言ったら「全然違うよ」と呆れられてしまった。
神社にいた神主らしき男性を見て、かっこいいと思ったし、話していてドキドキもした。けれど、これが「好き」なのかと思えば、どこか違うような気もしていた。
でも、また会いたいなと思ってしまい、次に子ども達と散歩に行くのが楽しみでもあった。
これが恋の始まりになるのだろうか?
そんな事を想像し、少しだけ微笑んでしまう。