俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
その日は遅番だったので、「今、仕事が終わりました」と、葵羽からすぐ電話がかかってきた。
「こんばんは、葵羽さん」
『お疲れ様、彩華さん。』
耳元で彼の優しい声が聞こえる。
葵羽は付き合い始めたばかりの頃はとても丁寧な言葉が多かった。けれど、少しずつ気軽さを感じられる話し方になってくれていた。
それは彼が少しずつリラックスしてくれて、自分に素を出してくれているのかと思える。彩華も飾らなくていいのかなと、ホッと安心する。だからこそ、少しずつ、本当の自分を出せれば嬉しいなと思っていた。
けれど、やはりまだ初めての「付き合う」という経験なのだから、気合いも入るし緊張もしてしまうものだった。
『私もまだ神社の方にいましたので、今からそちらに向かいますよ。夜道は危険なので』
「ありがとうございます。私が神社の方に向かいますよ」
『ダメです。待っててください』
「………わかりました」
『着いたら連絡します。』
『それでは』と言って、葵羽は通話を切った。これぐらいの会話でもまだまだ緊張してしまうのだ。彩華が素を出せるのはまだまだだろう。
彼から連絡が来たので、葵羽の車に乗った。
すると、彼はすぐに「実は……」と話しを始めた。