俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方



 「あの………葵羽さんには無理して欲しくないです。私もとっても会いたいのですが、用事があるのにわざわざ時間を作って忙しいのに来てくれるのは………嬉しいけど、葵羽さんが大変だなと思ってしまいます。………会えるのさ嬉しいし、今日会えなかったら寂しいとは思うんです。私の気持ちが矛盾してますよね」
 「………私は気にしないんですけど………確かに今日はバタバタしてしまう事になりましたね。………無理はしないように気を付けます。けれど、彩華さんも心配しすぎはダメですよ。頼って貰える方が男は嬉しいので」
 「はい………」
 「それに、彩華さんが私に会いたいって言ってくれたのは嬉しかったです。やはり言葉で言われるのは嬉しいです」
 「恥ずかしいですけど………いつも思ってますよ。会いたいなとか、まだ離れたくないな、とか」


 彩華は普段は言えない事を今は言える気がして、勢いのままに話してしまう。彼の顔を直視できなく少し視線を逸らしながら話す。彼がどんな表情をしているのかはわからない。
 彼の返事がないのを見て、彩華は恐る恐る顔を上げる。すると、彼は自分のシートベルトを外して、彩華の顔を覗き込んでいた。

 
 「この間は我慢しましたが、恋人になったので、我慢しなくてもいいですか?」
 「え………」



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