俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「………それは、私の家に来てくれるって事ですか?」
「え………」
「それとも、彩華さんの家に誘われているのでしょうか?」
「えぇっと……それは……」
最近わかった事だが、葵羽はこうやって彩華に意地悪を言ってくる事がある。彩華の反応を見て楽しんでいるようだ。彼にこんな一面があるとは意外だったけれど、本来の葵羽らしさを出してくれるようになったのは嬉しいことだった。
けれど、恥ずかしいことばかり言わせようとするので、彩華は困ってしまっていた。
そして、彼は続けて耳元で囁いた。
「彩華さんの据え膳ならとても嬉しいんですが………?」
「………え…………それは、その…………」
それはどっちの意味なのか?と、彩華は顔を真っ赤にして何と答えていいかと、口をパクパクさせるのを見て、葵羽はクスクスと微笑んだ。
「すみません………いじわるしすぎました」
そう言うと葵羽は彩華から離れた。
それでも彩華の鼓動は早くなっている。
「……冗談ですので、彩華さんの家にお邪魔してもいいですか?ご飯を食べるだけでもちろん帰りますので」
「………はい。もちろんです」
その後は、どんな料理を食べたいのかを聞いてたり、いつにするかの予定をたてているうちに、彩華は少しずつ落ち着きを取り戻していった。
大人の余裕には敵わないなと、彩華は感じてしまった。