俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
葵羽は時間通りにアパートに訪れた。
「お招きありがとう。………私が行きたいとお願いしたんだけどね」と微笑み、手土産のケーキを買って来てくれた。
彩華の部屋に入ると、「女の子らしいお部屋だね」と、言って褒めてくれた。
「葵羽さんは座っててください。あの………もう料理出しても大丈夫ですか?お腹空いてます?」
「もちろん、楽しみにしすぎてお昼は少なめにしてたんだよ」
「そんな………何か緊張してきました」
彩華はそう言いながらキッチンに戻ると、はははと楽しそうに葵羽は笑っていた。
今日のメニューは、ロールキャベツと、スープ、マカロニサラダや春雨と野菜の酢の物などの野菜尽くしのメニューとなった。せっかく葵羽から野菜を貰ったのだ。それらを使ったものを食べてほしかった。それに、葵羽は料理をしないと聞いていたので、栄養不足も心配だった。今度は魚料理にしようかな、とまで考えてしまっていた。
「わぁー!すごいですね!とってもおいしそうです」
テーブルに並べられた料理を見て、葵羽は声を挙げて喜んでくれた。
そして、「いただきます」と手を合わせて綺麗に挨拶をすると、葵羽は沢山の料理を食べてくれた。
「好き嫌いはないけど、子どもらしいものが好きです」と言っていたのは本当のようで、何でも箸で取り、美味しそうに食べてくれた。その表情を見ているだけで、彩華はホッと安心出来た。
「とってもおいしいです」
「よかった………」
「彩華さんも沢山食べてくださいね。と、私が言うのは変ですけど………」
「ありがとうございます」
彩華も料理を食べ始めると、葵羽は優しく微笑みながらジッとこちらを見つめていた。彩華は、視線に気がつき、どうしたのだろうか?と葵羽を見つめると、何故か口を小さく開いている。
「え…………?葵羽さん?」
「ここには2人以外に誰もいないので、アーンが出来るかと」
「なっ…………」
「ダメですか?」
「……ダメではないですが。葵羽さんは時々すごいことを言いますよね………」
「んー……そうでしょうか?」
イタズっ子の少年のようにクスクスと笑い、口を明けて待つ葵羽に、サラだにあるミニトマトを恐る恐る差し出すと、それを口先で上手に取り、「おいしいですね」と笑う彼を見て、やはりこの人には敵わないな、と改めて思ってしまうのだった。