俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
『で、電話してきたのね』
「こんな夜中にすみません」
葵羽が帰った後、彩華は自分で考えていても答えがでないとわかり、彩華はすぐに茉莉に相談の電話をした。彼女が帰国していてくれた事を感謝するしかなかった。
長々とした説明をする間、彼女は相槌を返しながら、しっかりと話を聞いてくれた。
そしてすべてを聞いた後、「んー」と唸り声を上げた後に茉莉の考えを教えてくれた。
『葵羽さんの仕事を教えてくれないし、何か違和感があるような気がするか。………葵羽さん、結婚してるんじゃないの?』
「え………えぇーー!!?」
『っっ!大きい声出さないの』
「ご、ごめん」
彩華は彼女の言葉に驚き、思わず大きな声を出してしまった。あまりにも彼女が問題発言をするからだ。
「そ、それって私が不倫相手って事?」
『だって左手に指輪してるんでしょ?元から怪しいじゃない』
「確かに指輪はしてるけど、でも………」
『それに野菜を貰う話で思ったんだけど、葵羽さん、自分の部屋に彩華を呼びたくないんじゃないの?手を出してこないのは、少し後ろめたさがあるとか………』
「……………」
茉莉の考えを聞いて、彩華はドキッとした。それだと辻褄が合うと思ってしまったのだ。それと同時に動悸も早くなってくる。
彼が嘘をついている。
それはない。あんなにも優しくて紳士的な彼が自分に嘘を言っている。
それがどうしても信じられない。
けれど、もしそうだったら?
疑いたくない。
けれど、そう思ってしまう自分がいる事が悲しかった。
電話口で黙ってしまった彩華を茉莉は心配して言葉を紡いだ。
『ごめん……私も言い過ぎたわ。私の意見はすべて憶測だから。彩華は葵羽さんに聞いてみた方がいいと思うの、ね?』
「うん。………そうだね」
茉莉と話して、不安なら我慢しないで聞いてみた方がいい。そう改めて考える事が出来た。
少し厳しいけれど優しい友人に感謝をしながら、2人の夜は更けていった。