俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
唖然としながら、ホテルの入り口にある大きなツリーを見て、そのまま高いビルを見上げながら言うと、葵羽は微笑みながら「それはよかったよ」と、彩華の手を握った。彼にエスコートされるままに通されたのがレストランだったのだ。
ただの保育士をしているだけの彩華にとって、高級ホテルのレストランなど縁がない場所だ。緊張してしまうのも仕方がない。
席に通されても、どうしていいかわからずに不安そうに葵羽を見つめてしまう。
すると、彼は「リラックスしていいですよ。ここは、普通のレストランと同じです」と言ってくれた。けれど、雰囲気も料理も、スタッフの対応も何もかも違っていて、彩華は戸惑うばかりだった。
不安や緊張からか、葵羽の勧めるがままにお酒を飲んでしまったのだ。葵羽に聞きたい事があったはずだが、そのチャンスもなかなか訪れずに来てしまった。
「酔っている彩華さんを見るのも新鮮ですが…………もう眠たくなってますね?」
「大丈夫れすよ。……あれ?だいじょぶです?」
「………これは大丈夫じゃないですね」
酔っぱらって上手くしゃべれなくなってしまった彩華を見て、葵羽は苦笑ながらそう言った。お酒には強かったはずなのに、彩華は社会人になってからあまりお酒を飲まなくなってしまった。久しぶりだったため、酔ってしまったようだった。